「わ、わたしはこの教会の調査にきたの……」

「調査?」

「住民から、い、依頼が、きて。わたしが、それを頼まれて」



 しどろもどろになりながら、もっとはっきり喋らなければ彼の気分を害するのではないかと思った。けれども乾いたのどからはつっかえたような言葉しか出てこない。



「……あなたは」


 頬に感じる冷たさを気にしながら、今度はわたしから口を開く。



「あなたは、一体何者なの?」

 彼は口の端をわずかに上げると、白くとがる牙を見せながら言った。




「吸血鬼だ」