「これ……棺桶?」


 窓の下に置かれた大きな棺に、わたしの興味は惹きつけられていた。


 どくどくと心臓が脈打つ。

 なぜだか分からない。多分、冷静なわたしだったら絶対にそんなことはしなかっただろう。


 けれどもこのときはなぜか、そうまるで引き寄せられるかのようにその冷たい棺の縁に指をかけ、そしてふたを開けていた。



 開けてしまったのだ。