その朝、激戦を終え康にお弁当を持たせて送り出した後、奈津子は朝食を二人でとりながらゆっくりとさなの話を聞いた。


「さな、くまちゃんと一緒にオレンジの電車に乗ってね、遊園地まで行ったの。」


さなは朝食もそっちのけで嬉しそうに話す。


「そしてね、遊園地で言ったの。こども一枚とくまちゃん一枚って。」


夢の中でくまちゃんの入場券も買うリアリティが奈津子には少し面白く感じた。


「くまちゃんと高い丸いアレに乗ったの!アレ!」


奈津子が「ママとパパと三人で乗ったグルグル回るアレ?観覧車?」と尋ねると「そう!観覧車!」とさなは元気に言った。


「それから、お馬さんのグルグルのも乗って、ぞうさんのグルグルのも乗って、いっぱいグルグルのに乗ったの。」


そして少し下を向いて「でも怖かったからお化け屋敷だけは入らなかったんだ~。」と言った。


「お化けにくまちゃんを連れていかれたら困るもんね。」と奈津子が言うと「うん。」とさなは頷いた。


「じゃあ、さーちゃん、朝ご飯を食べちゃおうか?」と奈津子が優しく言うと、さなは「はぁ~い。」と朝食に取り掛かった。


一生懸命に目玉焼きと格闘するさなを奈津子は微笑みながら眺めていた。