19:00

皆もう体力も限界だった。

夏とはいえ外はもう暗い。

2年3組の教室だけが光っていた。


「お腹空いたよ………」

千佳が頭を抱え机に突っ伏した。


確かに空腹感を感じる。



その時ドアが開き
黒ずくめが入ってきた。


「夕食だ。食べろ。」


学校の近くにあるスーパーの袋に
11人分のお弁当が入っていた。



いつの間にか黒ずくめが消え
沈黙だけが漂っていた。


「あたし…食べない。」

真理子がお弁当から目をそらした。


「確かに怪しいよな…」


篠原が複雑な顔をした。


「あたし、食べる。」

千佳がお弁当を手にした。


「お前…やめとけよ…」

甲斐が千佳から弁当を奪った。


「でも!これ食べて死んでも
飢え死にしても一緒でしょ?!」


いつもの千佳からは
想像できない声だった。


「もう堪えられないよ…
食べるくらい自由にさせて…」



千佳は甲斐から弁当を奪って
教室の端で弁当を広げた。


「あたしが死んだら
皆食べないでね……」



皆凍り付いたように動かなかった。