両親を早くに亡くしたあたしには

家族団欒って分からない。

記憶にも残ってない。

贅沢なんて望んだ事はないけど

しいて言えば...

旦那様を取り合いしたい。

娘と。


「どうされました?」


「えっ」


「いえ、あまりに幸せそうな笑顔だったんで」


あたしってば妄想しながらニヤついてたみたい。

恥ずかしい...



「食わねーんなら、もーらいっ」


横からジンがあたしのクラブサンドを奪う。


「ちょ、食べないなんて言ってない!」


「協力してんだよ」


「協力?」


「ウエスト…ボソ」


「ジン!」


今度はあたしとジンのやり取りを笑う神尾さん。


「仲の良い、いとこですね」


「悪いです!」「よくねぇ!」


声が合ってしまったあたし達にまた爆笑。


「あはは。楽しいな。美羽先生は」