さよならを告げたのは、ボクじゃない。

アオちゃんからなんだ‥。



『‥菫、気持ちは、分かるよ』

しばらくの沈黙の後、桃はそっと口を開いた。
そして、その優しい声で言う。

『でも、菫はいつもその目で、葵さんを探している』

そう。
学校に来ていないかなって、今週はいつも探していた。

『それは菫が葵さんに会いたいからでしょう?』

桃は、ボクの事全部分かってた‥。
全部、バレてた。

『‥会いに、行こう?』

ボクはいつも、アオちゃんの事ばかり考えていた。

いつも、いつも。



どうしたらアオちゃんが喜んでくれるか。

どうしたらアオちゃんの役に立てるか。

そんな事を考えてばかり。



前に

隣で笑ってくれていれば、それでいい。

って言っていたけど、当のボクはそれだけじゃダメだと思って。


‥気が付いたら、自分に余裕が無くなっていた。
アオちゃんの事ばかり考えて、自分の気持ちを伝える事を忘れていた。



もっと、自分に正直になるべきだった。

もっと、自分の欲を出せばよかった。



今のボクでも、十分我が儘だと思う。
でも、もう少し我が儘に‥‥なろう。

自分に、我が儘に。



「‥‥うん」



会いに、行くよ。