後ろで桃がボクを呼ぶ声がしたけど、無視して走った。

さっきって事は、さっきだよね‥!
だったら、近くにいる筈っ!!

ボクの足は、アオちゃんだけを目指して動いていた。
何処にいるかなんて分からない。
でも、いつも自然とその場所に足が動くんだ。



ボクたちの、全ての始まりの場所。



暗くなった空の下。
チカチカと瞬きをして付く、電灯の光。
暗くなっても、鮮やかに見える花々。

そう、ここは公園。

走ったせいで荒くなった息を整えながら、ボクは目を凝らす。
バシャバシャと宙を舞う噴水の水が静まった時、ボクは見つけた。
大きな時計の前のベンチに、一人座っている‥

「‥アオ、ちゃん‥っ」

口から出た言葉は、寒さのせいか震えていた。
ボクの声に反応して顔を上げたアオちゃんは、驚いた表情だった。

「‥スミ、レ‥」

アオちゃんの顔を見て、さっきまでの不安が無くなっていくのを感じた。