きちんと整理された室内。
先輩は性格からして、あんまり片付けは得意そうにない。
だから桃がこういうのをしっかりしていそう。
でも、前に先輩の部屋にお邪魔した時、案外片付いていた気が…
ま、いいか。
「悪ぃな」
「ええって」
金ちゃんは桃をベッドに寝かせ、華ちゃんは先輩に言われたところから薬箱を取り出した。
「そこに寝かせとけ」
スミレを抱えたままの僕に、先輩は桃の隣のベッドを指さした。
おそらく、こっちが桃のベッドだろう。
ワイシャツに手を掛けた先輩は、イテェ~と言いながらノロノロとそれを脱ぐ。
すると、金ちゃんはそれを勢い良くはがした。
「ッ!!ってぇ‥ッ!!何すんだテメェ!!」
「んなノロノロ脱ぐほうが痛いで」
「だったら前振り言ってからにしろよ!!」
「紅、そんなに五月蝿く言うたら‥」
「こ、紅?」
今、寝かせたばかりの桃が、僕の後ろから先輩を呼んだ。
ほら、そんな大きな声出すけん起してしもーたやん。と金ちゃんは先輩を睨む。
「そ、その傷、どうしたの‥!?」
先輩の胸の傷を見て、桃は顔を歪ませた。
抉られた様な傷、真っ赤に染まっているその胸が、尋常でない事は誰だって分かる。
不安定な足取りで先輩の前に行くと、崩れ落ちる様に座り込んだ。
そして先輩の手を握って、もう一度訊く。
「ねぇ、どうしたの‥?」
「‥‥」
それでも答えない先輩は、ちらりと僕を見た。
先輩は答えないんじゃない、
答えられないんだ。
それはきっと、僕がその傷を付けたから。

