浦さんから乱暴に桃を引き剥がし、自分の懐に入れる。
本当に、大切なものを抱くように。
桃はさっきの一撃のショックで、気を失っている様だった。
そんな桃に、自分の着ていたブレザーを被せた紅は、鋭い視線を浦さんに送った。
「本当は傷付けたくなかったんだけどよ、仕方がねぇ」
「‥‥」
「それに力尽くじゃねぇと、お前を止められそうにねぇしな」
紅の目は、本気だった。
「最悪の場合の事は考えたくもねぇ」
最悪の場合‥?
「でも、俺は桃もガキも俺自身も守らなきゃならねぇから、お前もな‥」
な、に?‥どういう事なの?
「お前をここで死なせるわけにはいかねぇんだ。ガキの為にも‥」
‥‥死ぬ‥?
「だから、お前が死なねぇ程度に捻じ伏せる」
これをスタートの代わりに
浦さんと紅が激突した。

