何で?さっき‥‥
「あ、あのね‥一緒に帰っちゃ、ダメ?」
僕の正面に回り込んできたスミレは、真っ直ぐに僕を見つめながら首を傾げた。
もう真っ暗だから、一人で帰るのが怖くて。
というスミレの顔は、笑顔だった。
しばらく話す事も、僕の前で笑う事もないと思っていたのに。
「あ、無理だったら別に‥」
「‥いいよ。暗いのに女の子一人じゃ危ないし」
なんて、口実の良い事言ったり。
暗くなった空の下、キラキラと輝きだした星を眺めながら帰った。
そう言えば、ちゃんとはっきり訊いておきたい事があった。
スミレがどうして、僕の好きな人の事を訊いたりしたのか。
「「あの」」
あ、かぶった。
「あ、浦さんから‥」
「いいよ、お前から言いなよ」
「でも、そこまで大した事じゃないし‥」
「いいから、御先にどおぞ」
スミレは少し俯き加減に、僕の様子を気にしながら話始めた。
「‥浦さん、ボクに何で、何ていうかその‥‥あんな事したの?」
「‥‥結構、困る事訊くね」
「付き合っている彼女、いるんでしょう?」
だから、それがお前なんだよ。
なんて言える筈もなかった。
別に言ってはいけないというわけでは無いけど
何故か、その言葉に僕は臆病になっていた。
「浦さん、鳩羽ちゃんと付き合っているんでしょう?なのに‥」
は、はい‥ッ!?
ち、ちょちょちょちょ、ちょぉっと待ってっ!!

