「浦さんって、‥好きな人、いるの?」

驚いた。
行き成り、しかもお前からこんな事を訊かれるなんて思ってもみなかったから。
だって、お前は人の恋愛なんかに興味無さそうだし。
はははっ、でも、これは辛いな。

「‥いるよ」

少し間を開けて言えば、少し詰まった返事が返ってきた。

「そう、なんだ」
「本当に愛おしくてしょうがない。溺愛ってやつかも」

ていうか、そんな言葉でも表わせないくらい愛おしい。


目の前にいるのに、触れられない。

手を伸ばせば届くのに、遠い存在。





もどかしい





「でも、どうしたの?急にそんな事訊いてきて」
「‥何でも、無い」

人の恋愛に興味が無いって言うお前が‥
何で、何で‥

「スミ、レ?」



泣いている?



「本当に、その人の事が好きなんだね。浦さんは」
「‥‥」

どうして泣いているんだ?
記憶は、無い筈なのに。

「ゴメン、なんか泣いちゃって」

スミレ、お前‥‥
何か大きな間違いをしている。

「ボクに勉強教える暇なんかあったら、その子のところに行ってあげなよ」

ほら、ね。
馬鹿言いなよ。

僕が好きな子は、
愛している子は、



お前だけなのに。