「菫、大丈夫?」
「あ、桃~♪」

先輩たちが僕たちのところに近づいてきた。
あれだけの距離なのに、今来たって事は‥

気を使ってくれたのだろうか。

「ん?桃、この2人は知り合い‥?」



ズキンッと胸が痛む。
こういう言葉を本人の口から聞くのは、

一番願っていなかった事。



「あ‥、えっとね、この人は前に紹介するって言った恋人の赤原紅」
「えぇ!!こんな不良っぽい奴が!?」
「誰が不良だっ!!このガキィ!!」
「な、誰がガキって!?」

この2人は‥‥。
スミレの記憶が無くても、関係が成り立っている。

でも、僕はそうはいかない。

「で、こっちは紅と同級生の浦波葵さん。前生徒会長でね、頭がすっごくいいんだよ」
「へぇ~、じゃあ、生徒会長さんだね!」
「いや、今の生徒会長は桃だから、僕は‥」
「いいのっ!桃は桃、生徒会長さんは生徒会長さんっ!!」

いや、それはちょっと長すぎやしないか‥?
と思っていれば、スミレは首をかしげて、長いなぁ。と呟いた。
そりゃあねぇ‥。本名よりも長いし?

「じゃあ、浦さんでいいや」

これで、問題無しの大満足。と満面の笑みで語るスミレに、僕は何も言えなかった。



‥“アオちゃん”じゃ、ないのか。