「やっぱり、アオちゃんが一番ドキドキする」
「そりゃねぇ。海とガラスなんかに負けるってのはねぇ‥」
そんな事、僕のプライドが許さない。
「あ、やっぱ妬いてたんでしょ?」
「‥‥」
「ふぅ~ん、妬いてたんだ」
嬉しそうに笑うスミレは、僕の顔を覗いては声を出して笑った。
ちょっと、失礼って言葉知らない?
いつまで経っても笑いっぱなしなもんだから、僕は‥
「ちょっと黙ってくれない?」
お前を引き寄せて、口付ける。
急な事に驚いたスミレは、唖然、呆然。
遠くの方から先輩たちの声がしたのは、空耳って事で。
「っ、ちょぉっと!!桃たちが今見てたよっ!!」
「僕からは先輩たち見えてないし」
「ボクからは見えてんの‥ッ!!もぉ、恥ずかしい‥」
ぽかぽかと僕を叩く、その脹れっ面。
怖いなんて感じない。
「そんな事しても、可愛いだけだって」
「っ~、アオちゃんのバカァ!!」
先輩たちの方へ行こうとする後ろ姿。
僕は自然とスミレの手をとって、繋いだ。
「ずっと傍にいてくれるんじゃなかったっけ?」
「だってアオちゃんが意地悪するからでしょッ!!」
「ゴメンゴメン」
そう言いながらも握り返してくれる手が、本当に温かかった。
お前の手が温かいのは、心の影響だろうね。
優しくて、本当は穏やかで、温かいから。

