残響*Impression

淹れてくれた珈琲がテーブルに二つ並んだまま、話題は白熱して、口に含んだ時には冷めていた。


インディーズでは名の知れたバンドに居るらしい。


聞いてみたいな…って言ったら、明日のLIVEにおいでって…。


お互いの夢は同じだった。


“音に触れていたい”


「俺、夜はバイトだから、そろそろ行かなきゃ…。そーいえば、名前は?おかしいよね、名前も知らずに話してたよ」


「あははっ、本当だね。瑠美(ルミ)だよ」


「俺は、流威(ルイ)。流れるに威厳の“威”。似てるね、運命かも?…なーんてね」


瑠美に流威。


運命だなんて…ちょっぴり気恥ずかしくて、嬉しい一言。


―――この出会いが運命の悲しい悪戯だったと気付くのは、まだ先の事。