―――数時間前、貴方と触れ合い、抱き合った身体。


冷え切って、温もりを忘れてしまいそう。


だからこそ、目に焼き付けて置きたい。


相思相愛なんて、この世の中にある訳はないと思っていた。


貴方に会うまでは、与えられる愛なんて知らなかったよ。


何もかもが嫌になって、行く宛てもなくフラフラと電車に乗り、知り合いなんて居ない場所に来た。


お金も余り持ち合わせてなくて、今夜どうするかも分からないままに、家を飛び出した。


携帯も家に置き去りのままに……。


人込みが嫌なくせに、何故、都会から都会の知らない所へ来てしまったんだろう?


“探しに来てくれる”、と心の奥底で望んでいたのかもしれない。


適当に電車を乗り継ぎ、降りてから、しばらく歩くと高台のある公園を見つけた。


高台の公園からは、家が立ち並ぶ景色。


隙間のない、引き締め合った景色に、溜め息をついた。