その時、メールの着信音が鳴った。
携帯のランプが点滅している。
送信者は――
『サエネエ』
紗枝姉……である。
漢字で書かないと、文字通りさえない呼び名になってしまう果菜の姉、紗枝からだった。
今年十九歳。
高校を卒業すると同時に結婚して、家を出て行った。
「何の用だろ……」
果菜は渋い顔をして、二つ折りの携帯を開き、メールを読む。
『今日いるんでしょ?
今から行くからネ!!』
普通だったら学校に行っていなければならない中学生の妹に、平日の午前中から「いるんでしょ?」
と決め付けるって、どうなんだろう。
果菜はため息をついて携帯を閉じた。
姉は、悪気の無い人だ。明るくて裏表が無い。
でも悪気が無いからと言って、腹が立たないかと言うと、そうでもないから困る。
困るけど、悪気のない人に対しては何も言えなかったりする。
携帯のランプが点滅している。
送信者は――
『サエネエ』
紗枝姉……である。
漢字で書かないと、文字通りさえない呼び名になってしまう果菜の姉、紗枝からだった。
今年十九歳。
高校を卒業すると同時に結婚して、家を出て行った。
「何の用だろ……」
果菜は渋い顔をして、二つ折りの携帯を開き、メールを読む。
『今日いるんでしょ?
今から行くからネ!!』
普通だったら学校に行っていなければならない中学生の妹に、平日の午前中から「いるんでしょ?」
と決め付けるって、どうなんだろう。
果菜はため息をついて携帯を閉じた。
姉は、悪気の無い人だ。明るくて裏表が無い。
でも悪気が無いからと言って、腹が立たないかと言うと、そうでもないから困る。
困るけど、悪気のない人に対しては何も言えなかったりする。
