夜中は少し冷える。
俺は、彼女のマンションの前から動けずにいた。
「あれ〜?何してんの?」
いきなり声をかけられて、冷や汗をかいた。
「いや、怪しいモノじゃ…」
「いや、十分怪しいッ!!」
その女の横には、眠たそうに目をこする小さな女の子がいた。
「お兄さん、とりあえずこんなトコいたら寒いから、あがる?」
「は?」
「あんたみたいな人、アタシは放っておけないタイプなのっ!」
「はぁ…いや…」
「話、聞いてあげるから。」
何だ、この女。
本当に危ないのは、あんたの方だよ。
見ず知らずの男に、親切にするなんて…。

