「うん。」
「送るよ。」
「大丈夫。もう近いし。」
「ダーメ!!危ないから!」
おどけてみせれば、彼女は笑ってくれる。
何も言わずに、彼女は歩きだす。
会話が見つからない。
話したいことや聞きたいことは腐るほどあるのに、何て言ったらいいか分からない。
「あっ、あのさ…」
「ん?」
「ん〜?飲み過ぎた(笑)?」
「うん、少し(笑)」
話し掛けてはみたものの、どうでもいいことしか聞けない、情けない俺。
きっと、本当の俺はこうなんだ。
ホストじゃない俺は、きっと誰よりも臆病で情けなくて……
好きな人には弱い。

