俺は起き上がった。
彼女を追い掛けるために。
あぁ、また俺、本気で走ってるよ。
普段、絶対に使わないような階段なんか使ったりしてさぁ。
恋のチカラはスゴいんだ……
「いずみちゃん!!」
俺がそう叫んだら、彼女は物凄く悲しそうな顔をして振り返った。
「ゆうくん…。どうしたの?」
笑ってはみせるけど、目が笑ってないよ。
どうして君は、そんなに悲しい顔をするんだ?
その理由が…知りたい。
「ほらっ、1人で夜中に歩くなんて危ないだろっ(笑)!」
前にも言った言葉…。
そのときも君は、悲しそうな笑顔を、俺に見せたよな。

