『好きな人ができたから、別れてほしいの』とあまりにあっさり言われ、すぐには理解できず、徐々にその意味を理解した。
その間、お互いが無言で見つめ合っていたけれど、俺の思考が動き出し、口を開いた瞬間『わかった』そう答えていた。
彼女は、なぜか傷付いたような顔をしていたが、好きな人ができたと言われては、身を引く以外どうしようもない気がした。
それに、そんな顔をされるのは心外だった。
傷付いた顔をするのは、振られた俺がするべき表情だ。
実際、間単にわかったなんて答えたものの、相当のダメージを受けていた。
だから、全部忘れたくて、何度か行った事のあるバーに立ち寄った。


