くぅくぅと、規則正しい寝息を立てて、タカヤは眠っている。

暖房もなく冷え切った部屋で、擦り切れた毛布を身体に巻きつけて。

子供のように罪のない寝顔を、沼田は煙草を噛みながら見下ろしていた。
         
            
「おい」
       
           
靴を履いたままのつま先で、軽く、タカヤを揺する。

シャブのせいで、貧血気味の顔色の悪い寝顔は、死体のような錯覚を沼田に起こさせる。
        
        
「とっとと起きろよ」
        
                
 いらいらと蹴飛ばすと、タカヤは呻いて、目をこすった。