【奏】雪に願う事



「うっ…」



「う?」




「嘘だ~!!!!」




思わず出た言葉に

思わず泰生先輩を睨みつけた私。



「本当に、本気だ」


真剣な目をして
真っ直ぐ私を見つめる
泰生先輩。



有り得ない…。


ある筈がない…。



だって…両想いって事だよ?!




「私のどこが好き?」




「えっ?」



「だって…信じられない」



ムッとした表情を
浮かべながらも
耳だけじゃなく
頬まで赤くした泰生先輩。



「嘘偽りや計算なしで
真っ直ぐ気持ち伝えてくるとこ。

素直で感情表現豊かなとこ。」




「じゃ…じゃあ

今までの私でもいい?」



「…はぁ?

意味わから――」



訝しげな表情を
浮かべた泰生先輩に
離れてた身体を寄せ
手を回し抱きついた。




「えっ?…おい」



「泰生先輩…大好き」


静かに穏かに溢れ出た言葉。


いつもならここで
引き剥がされる温もり。


だけど、今日はそのまま
背中に手が回され
きつく抱きしめられる。



「俺も…心暖が好きだ」




ぶっきら棒だけど
優しくて
いつも瞳に優しさを表してる
泰生先輩。




他の人にはわからなくても

私にはわかるんだ…。



その優しさを…。