【奏】雪に願う事


「でっ余ったのをちょうだい」



「そっちですか…」



大体、余ったらって…


「普段、心暖は子供っぽいから
シンプルなのにして
小さいハート型とかに
すればいいじゃん?

大きいと持って帰るの
恥ずかしいしさ」



「そっか~
そうだよね」



澪ナイスだよ!!!



「だから情報量で
余ったらちょうだい」



「うん」


確かに大きいのだと
泰生先輩、
受け取ってくれないかも…。



放課後、早速
材料を2人で買いに行った。




バレンタインデーコーナーは

恋人向けの音楽と

ちょっぴり頬を
ピンクに染めながら

真剣にチョコを
吟味している制服の群れ。



その隣の製菓売り場で

澪と材料を選ぶ。



みんなのドキドキした気持ちや

不安に思う言葉が聞こえてくる。


みんな一緒なんだよね…。




泰生先輩…

受け取ってくれるかな?



喜んでくれるかな?



ううん、

いつもみたいに
ぶっきらぼうな態度でもいいから
受け取ってくれればいいな…。