友人がそう言い終わるが早いか、俺は階段を駆け降りていた。

ジャージにローファという異様な格好のまま傘もささず、体育館を飛び出す。


あれだけローファに水が染み込まないように気を付けて歩いていたのに、今はそんな事も頭からぶっ飛んでいた。


玄関まで辿り着いた俺は、中に入り、自分のクラスの靴箱まで近寄る。

数名の生徒の好奇の視線が俺に向けられた。


扉がついていない木製の靴箱。
そこから、中村の名前を捜すのにそんなに時間はかからなかった。


中村の靴箱には──







かかとの踏み潰されていない、綺麗なシューズが置かれていた。