夜の十一時十分前、丁度に公園に入る。

そして俺は噴水の前から菜綱嬢の姿を探す。

本日は袋一杯の麦チョコを勢いよく頬張ってた。

俺の姿を確認すると自前のティーカップに注いだ紅茶を飲んで流し込むように麦チョコを食べた。
「やっほー!とーじ」

一体何処から紅茶は出しているんだろうとか思ったが彼女の事をあまり深く知ろうと思わない。

なんか疲れそうだし。
「よう!今晩も月が良く見えるな」

菜綱は空の月を見上げて手で掴むような動作をした。
「何してるんだ?」
「あのお月様を取れたらどれだけ嬉しいかなっと思ってさ」

意外に可愛い事をおっしゃる菜綱嬢は本日スカートを穿いていた。
「へぇ、今日は女の子らしいじゃないか」

くるりと菜綱は回ると嬉しそうに笑った。
「でしょでしょ?ちょっとお洒落したんだよ!可愛いかな?」
「さぁ、どうだろうね。こんな夜中にうろついてる不良娘は」
「あー、ボク傷ついたな!」

両頬をぷくりと膨らませてそっぽを向いた菜綱、学校に行けば一躍人気者になれるだろうにコイツにはコイツなりの事情があるんだろうか?
「はいはい、菜綱があまりのも可愛いからちょっとからかっただけだよ。」
「・・・・」

分かりやすい奴だな。もう一押しかな?