「サヨナラだな」

俺は公園を後にした。

飛んで行けばよかったのだろうが、俺はもしかしたら菜綱に会えるのでは?

という期待を込めて二人で歩いた道のりを歩きながらあの場所へ向った。

これで見納めなのかと思うと涙がこぼれてた。

体がなくても人は泣けるようだ。

俺はあの忌まわしい場所にたどり着いた。

そこには誰もいなかった。

ユタロウは何処に行ったのだろうか?

するとユタロウのであろうバイクのけたたましい唸り声が聞こえた。

ユタロウは自分のバイクの背に俺の妹を乗せていた。

それは俺の知っている妹よりはるかに成長した姿だった。
「約束は守った!」
「あぁ、確かに!二人で話してもいいのか?」
「うん!その為に連れてきた」

やっぱり何処と無く小さい子供を感じさせるユタロウ。

ユタロウは俺に気を利かせたのか俺達に背を向け音楽を聴きだした。

そんなユタロウを横目で見ながら妹に、郁子に声をかけた。
「あの、なんだ、その綺麗になったな?」
郁子は今にも泣きそうだった。
「お兄ちゃん・・・」

推定同い年であろう妹を抱きしめた。触れる事ができた。ユタロウの力なんだろうな。
「何度も謝ろうと思ったの!」

謝る?冗談じゃない!
「それは俺の台詞だ」
「えっ?」

不思議そうに俺を見る妹。
「俺は約束を守れなかった。もうお前を守ってやれない」

郁子は首をブンブンと振った。