俺の名前、成田冬至。
まぁそんな珍しくない苗字の成田、そして俺が生まれた日が冬至だった事からこの名前がつけられたらしい
「俺は、冬至だ。」
「ふ~ん。とーじかぁ!」

俺の顔を覗き込んだり、クレープを食べたり忙しい娘だな。

この少女は一体何なんだろうか?
「それじゃあ、話を戻そう!菜綱はここで何をしてるの?」
「さっきもいったじゃん!ご飯食べてるの!それよりとーじは何してるの?」

質問を質問で返された。

願いを叶える黒猫を探してるなんて言ったら笑うだろうか?

だが十分変なこの娘なら普通に聞いてくれるかもしれない。

俺は少しばかりの期待を胸にユタロウの話をしてみる事にした。
「俺は、その知ってるかな?都市伝説にもなった。願いを叶えてくれる黒猫の話」
「ユタロウ?」

菜綱は俺の事をマジマジと見つめながら話を聞いた。
「そうだ。そのユタロウを探している。どうしても会いたい人がいるんだ。」
「ふ~ん、会いたい人って好きな人?」
「あぁ、とても大切な人だよ!」
「会いにいけばいいじゃん!」
「もう、いないんだ。」

そう、郁子はこの世界の何処にもいない
「そうなんだぁ!じゃあボクも探すの手伝ってあげようか?」

そういうと菜綱は俺の手を取った。