俺は夜の街を歩いていた。

何故夜かって?何となく黒猫といえば夜にイメージがあるからだ。

期間は一週間、妹の命日までに出会えなければ俺はキッパリと過去を振り切る努力をする。

もし出会えたならば、俺は俺の命と引き換えにでも妹を生き返らせてもらいたい。

それが俺の願い。

噴水のある大きな公園に辿り着いた。夜風が妙に心地よい。
「何してるの?」

俺はギョッとした。

今は午前1時、警察に補導されてもおかしくない時間だった。

振り返ると階段の所に一人の女の子が座っていた。

コンビ二とかで買ったのだろうか?

クレープを頬張っていた。

そして場違いなティーカップで紅茶を啜っていた。

年のころは十四、五といったころだと思う。
「君こそ何をしてる?こんな夜中に出歩いてるとお巡りさんに怒られるぞ。」
「ん?ボク?風が気持ちいいからここで夕食食べてるの」
「家出か何かか?こんな所に一人でいたら危ないよ」
「お兄さんも一人でいるじゃん!」

確かにそうだ。だがこの子は根本がおかしい。
「いや、俺は一応義務教育が終わった年齢だ!だが君は違うだろう?見た所中学生くらいじゃないか?」

少女は口の周りのクリームを指で撫で取ると俺の前まで歩み寄った。
「な・づ・な!」
「えっ?」
「ボクの名前だ!君じゃない!」

若干怒って頬を膨らませた。
「分かった!ごめんよ。なづなちゃん」

そう言うとなづなはニッコリと微笑んだ。
「うん!菜綱でいいよ!」

菜綱は木の枝で地面に自分の名前を彫った。
「お兄さんの名前は?」