あたりまえの如くそこには菜綱はいなかった。

しかたなく俺はとぼとぼと工事現場や廃墟跡何かを探した。

どうせだから今日夢で見た郁子の学校にでも行ってみよう。

俺はそう思うとバス道をたどり夢の中で郁子の通っていた学校に向かった。

十数キロ離れている事には閉口したが、運動不足の俺には丁度よかった。

学校には生徒を一人も確認する事は出来なかった。
「部活もないのか、試験期間かな?」
「違うよ!何か事故が起きたんだ」

俺の独り言に口を挟む者が現れた。

それはこの学校の生徒のようだった。
「事故ねぇ、どんな?」
「不慮の事故だよ!足を滑らせて頭を打ったらしい。今重態だってさ。でアンタは何してるの?」

突然の問いに俺は困った。

夢の中で死んだ妹が通ってた学校を見に来た。

幸運を呼ぶ黒猫、ユタロウを探してる。

どちらでも異常者に勘違いされかねない。
「いや、ちょっと先生に用事があってね。でもこれじゃあそれどころじゃないね」
「卒業生か何か?」
「まぁ、そんな所」
「そう、俺、そろそろ次の授業あるから」
「学校はもう終わりだろ?」
「あーそうか、最近忘れやすいんだよな。いちいち思い出さなきゃならない。ボケかな?ハ八ッ」