いつのまにか俺の方から菜綱の手を握るようになっていた。

あと四日、あと四日したら俺は菜綱とこうしていられるのだろうか?

それともこの一週間が終われば俺達の関係も終わるのだろうか?
「とーじ?大丈夫?」
「あっ、うん、俺は大丈夫だ。」

いつもの公園についた時には、もう夜が明けていた。
「いけない、早く帰らなきゃ」

そう言うと菜綱は小走りに俺の前から消えた。
「俺も帰らなきゃ」

俺は事故から両親とろくに口を聞いた事がない食事も別、俺が朝帰りしようが何とも言われるわけではないんだが、親に会うのは何だか気がひける。

俺の家は二階建ての一軒家だ。

玄関の前に立つとゆっくり俺は扉に手をかけた。だが俺の意思に関係なく扉は開いた。

扉の先には俺の母が立っていた。
「あっ、母さん、おはよう」

母は俺をちらっと見るとそのまま外に出て行った。

こんな風に俺の家庭は完全に崩壊していた。

他人が集まって住んでるみたいな家。俺の家。もう寝よう。

俺の部屋は二階の奥にある。

自分の部屋に行く時、必ず妹の部屋の前を通る事になる。

いや、妹の部屋になる筈だった部屋と言うべきか、事故の数日前から妹は自分の部屋が欲しいと言い出した。

それで余ってた部屋を皆で掃除して郁子の部屋にしようと考えてた。

でもそれももうお終い。

俺は郁子の部屋の前を通る時速度を速めた。

早く、自分の部屋に入りたかった。自分だけの唯一のテリトリー
「くっ、眠たっ」

ベットに飛び込むと俺はそのまま深い眠りについたんだと思う。そしていつもの夢へ