企画小説



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(麻津名ちゃん)

だれ…?

(君は今日から、優喜家の子供だ)

今日から…?何言ってるの?
生まれたときから、私は優喜家の…

(麻津名…いいや、一度だけ私たちが付けた名前を呼んでいい?)

私たちが付けた名前…?
私は、優喜麻津名でしょう…

(浬津…幸せにね)

浬…津……?



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バシィッ!!

「えっ?!」

勢いよく背中を叩かれ、目を覚ました麻津名。

「おはよう」

「あれ…おはよう、麻津裏兄ちゃん」

「もうホームルームも終わったぞ」

「えっ!!そっ…そんなに寝てたの!?」

「理科学で一回起こしたんだぜ?起きなかったんだぞ」


あれ、絶対鏡ちゃん内申悪くしたぞー。と、笑いながら言う麻津裏。


「…」

けどもそれより、さっきの夢が気になり上手く反応の出来ない麻津名。

その様子に気付いた麻津裏が眉間に皺を寄せながら麻津名に問い掛けた。


「…恐い夢でも見たのか?」

「…えっ?」


なんで?と、続ける前に頭をポンポンと撫でられた。

「…麻津裏兄ちゃん?」

「恐い夢みたのに、泣かなかった偉い麻津名に、いーこいーこしてるんだ」