早く休憩時間にならないかな〜なんて考えながら、お客を待つ。
すると……
「あの…占ってもらえますか?」
カーテンから、一人の女の子が顔を覗かせた。
「はい、勿論いいですよー」
「え、男の子…」
「あ、嫌でしたか?」
露骨に微妙な複雑な顔をされたので、一応聞いてみた。
「あ、いえ…とても当たると言われてたのでこちらにきたときに、勝手に女性だと思ってしまったので」
「あぁ、そうでし……ちょっ、誰です?俺がとても当たるなんて言ったの」
嘘じゃねーけどさ。
俺は、心の中で思いながら、只一人俺をそんな風に言う奴を思い浮かべながら尋ねた。
「えっと…おまじないのところにいた女性にです」
やっぱりか。あのブラコン姉貴。
事あるごとに俺んとこに、自分じゃ解決できない悩みを持った客追いやって…
「…あの?」
「あっ、はい。失礼しました」
マズイ。今は仕事に集中しよう。姉貴には後から、休憩時間にシュークリーム貰うからな(←無断)
「……では、どういった悩みでしょう?」
「好きな人がいるんです。今年、卒業で…告白したいと思ってるんです」
「ふむふむ。で、上手くいくか。ですか?」
「はい」
「わかりました。では、貴方にも手伝って頂きますよ。」
「へ?」
「私のタロット占いは、お客様の意志もきちんと込める為にお手伝いして頂くんです」
「…何をすれば」
「私がタロットの山を渡したら、絶対に表は見ないようにしながら利き手にカードの山を持ち、利き手ではない方の手で三等分して順にテーブルに並べてください。…で、置いた順に1、2、3とし、バラバラの順番で重ねて山に戻して下さい。それで完了です」
「…はぁ、わかりました」
「では、始めます。…占いの最中はなるべく話さないで下さい。それと同時に聞きたいことを頭の中で唱え続けてください」
それだけ言うと、彼女はコクン、と一度だけ頷いた。
流石。飲み込むの早いこと。