次の日。
「お迎えにあがりました。浬津様」
本当に同じ時間に、淡岩はやってきた。
「用意は出来てます。…ただし、そちらに行くには条件を付けさせて頂きます」
畏まった口調で、意志の強そうな瞳で、麻津名は言った。
「…なんでしょう」
「私に許婚をつけて欲しいのです、私が指定した…ね」
「許婚でございますか?」
「えぇ」
実は、昨晩寝る前にふたりは話し合っていたのだ。
いつまでも付き合えるには、どうすればいいか、と。
その結果が、この“許婚作戦”。
「試しに聞きますが、どなたでしょう」
「優喜麻津裏です」
何の迷いもなく、麻津名はきっぱり言い張った。
「…ダメに決まってますでしょう、貴方は」
「ならば、優喜も東苑堂寺も捨て、麻津裏と共に駆け落ちします」
「え!?」
淡岩の言葉を遮り、麻津名はとんでもないことを口にした。
東苑堂寺どころか優喜まで捨てるのだ。
「認めて…頂けますね?」
ニヤリと含み笑いを零し、麻津名は問った。
「……っ、ですが」
淡岩が、反論しようとした瞬間――!
「…まぁ、いいんじゃないか?」
「御当主!」
麻津名の本当の両親が現れた。
