企画小説



「麻津裏兄ちゃんが、好き。」

「ま、つな…?」



勝手に動いたのは、口だけではなかった。

身体も動いていたのだ。





ギュッ……!



「麻津名?!」

「好き好き…大好き、麻津裏」


言えなかった時間を埋めるかのように、

表せれなかった時を覆い被すように、


精一杯、身体で、言葉で、気持ちを伝えた。



「……嘘じゃないんだよな?本気なんだよな??」

「うん、うん……嘘じゃない。本気も本気だよ?」

「お前、意味わかってるんだろうな?俺が、好きだ。って言ったんだぞ?」

「…それくらいわかってる。」

「東苑堂寺に明日から行くんだぞ?一生会えなくされるかもしれないんだぞ?いいのか、それでも」

「……」


麻津裏の言葉に少し麻津名は、考える。

会えなくなるかもしれない。

けれど、


「この世に本当に“運命”があれば必ずもう一度、会える。私は信じてるよ」

「……ちっちゃい頃から、運命って好きだもんな麻津名は」

「きっと…大丈夫だから」

「…ああ」


ふたりは指切りしてキスをした。


ファーストキスは、レモンの味。とか誰か言ってたけど、麻津名には、甘い甘い苺の味に思えた。





幸せな夢を見ながら、眠りに落ちていったふたりだった。