『不思議だな。気持ちが晴れ晴れとしている』
ゆずに手を出した泉を憎く思ってしまいそうだった。
でもそれ以上に嬉しかったのだ。
泉が真正面から向かってこようとしていることが。
長い間、泉と過ごしてきた。
長い年月をかけて築いてきた信頼関係を誇りにも思う。
けれど、いつも泉は千の少し後ろを歩いてきた。
幼いころからずっと。
まるで主従関係のようだった。
千はそのことを少しばかり悲しく思っていた。
大切だからこそ、
失いたくないからこそ、
向き合いたかった。
真正面から。
メニュー
メニュー
この作品の感想を3つまで選択できます。
読み込み中…