『つっ・・・。』
拳から流れている真紅のそれは大理石の床に滴り落ちていく。
あの小さな少女を愛しいと思った。
だから自分が守って行くと決めた。
今まで一番傍にいたのは自分だ。
見守ってきたのは・・・自分だ。
泉は拳を震わせ、皮膚に爪をめり込ませた。
その爪を伝う真紅の雫は泉の嫉妬心。
千がいない間ゆずの傍にいたのは泉で、
守ってきたのも支えてきたのも泉だった。
けれどゆずは一度も異性として意識しなかった。
ただ、泉の手の温もりだけを求めた。
そんなゆずがだんだん愛しくなって守りたくなったのだ。
千がゆずを傷つけるなら全力で守ろう。
そう胸に誓った泉。
しかしさっきから感じる千の力。
それはどんどん増すばかり。
それが意味するものは・・
千とゆずの行為だ。

