何故、何故ゆずはこんなにも暖かいのだろう。
きっと傷ついたはずなのに
どうして・・抱きしめる?
こんなに情けない男を何故抱きしめるのだろう。
この温もりが
嘘だというのなら・・
もうそれでもいい。
この温もりによりかかっていたい。
千の中で起こるわずかな変化。
『千さん・・・。私、千さんがイヤだと言っても傍にいます。だから・・私の所(ココ)にいてください。』
千はゆずの腕に縋りつくように触れた。
か弱く見えた少女に
全てを委ねるかのように。
『ゆず・・・。』
そしてまた
崩れ落ちるように温もりを重ねあった。

