狂愛~狂うほどに君を~



ゆずは額に手を当てる。


泉の唇の感触がわずかに残っていた。






『泉さん・・?』






今まで頭を撫でることは何度もあった。


ゆずはそれが心地良かったし、大好きだった。


だから触れられることには抵抗感がない。


しかし、額にキスを落とされることはなかった。


故にこの行為に疑問を抱いた。







『千さんッ!!』






けれど、次の瞬間には泉のことは頭から離れ


千につけられたこの無数の真紅の痕に目を奪われ


千の元へ行かなければと思っていた。


泉が用意してくれていた着替えに素早く腕を通して部屋を飛び出た。


向かう先はもちろん大広間である。