狂愛~狂うほどに君を~




・・・・・・・・あれ?


私、何してたんだっけ?


ゆずは重たい瞼をゆっくりと開いていく。




『泉さん?』




瞼を開けると左手に温もりを感じた。


視線を向けるとそこには泉がいた。




『ゆずちゃん。おはよう。』




泉はゆずの目にかかっていた前髪を優しく払う。




『あの・・千さんは?』




泉と会話したことによってゆずの意識がはっきりしていく。


そして少しずつ思い出されるついさっきまでの記憶。


千と交えたこの体に残る痛みが・・・千のことばかり考えさせる。




『きっと、広間にいるんでしょう。』




体に毛布を一枚だけ巻いている状態で泉と会話していることが恥ずかしくてゆずは俯きながら問う。




『ゆずちゃん。僕はいつでも傍にいますから・・一番に頼ってくださいね?』




泉はそう言ってゆずの額にキスをした。


そして横に着替えを置いて優雅な所作で部屋を後にする。