『クソが…。』
ゆずのいる部屋へと泉が駆けていく姿を無言で見送った千。
ずっと泉の気配に気を集中させていた。
泉がゆずの肌に触れたことすら千には分かってしまう。
距離が遠ければそこまでは分からないが屋敷内は許容範囲である。
それは泉の行動は筒抜けということ。
『覚悟の上か。』
明らかに千より泉は悪魔としての能力は劣っている。
千には生まれ持った能力と鍛えて手に入れた能力があるが、泉は鍛えることで手に入る能力しかない。
この時点で千の勝利は確定している。
そして、その千が気に召しているゆずに触れた。
それは、戦う意志があるということだ。
自分の遥か上の千に、立ち向かっていくということ。

