家がないと答えたゆずに千は何故家がないのかと問いたくなったがそれはあえてしなかった。


『ちょっと待ってろ。』

千はゆずを残して部屋を出た。


千がいなくなってしまったゆずは知らないところに一人ということに少しばかり不安を覚えていた。

不安になることはない。

ここで何が起きようとも私には失うものなんてもう何もないのだから。

心の中でゆずは自分にそう 言い聞かせていた。