『ゆーず!』
昼下がり、ゆずは体に重みを感じて目を開いた。
『リアム・・・!体はもういいの!?』
重みの正体はリリィの守護霊であるリアムだった。
リアムはリリィの治癒力でほぼ体は正常に戻ってはいたのだが、念には念をと泉とマクベスによって完全な解毒を施し、体力も回復させた。
元気になったリアムはすぐにでもリリィに会って甘えたくて仕方がなかったのだ。
本当の自分の主人、リリィに。
『大丈夫!!ゆずのおかげだよ!』
けれど、リリィと呼ぶことはしなかった。
ゆずがその名に戸惑いを感じているのを知っていたから。
『リアム・・・。良かった・・・』
ゆずはそんなリアムの優しさに感謝をして、リアムのことを抱きしめた。
昔のように、優しく頭を撫でながら。
『うふふ。リアムは素直だね』
リアムの溢れんばかりの喜びを、狐と同じカタチをした耳と尻尾が物語っていた。
『久々の団欒のところ悪いが・・・数刻待っていろ』
ゆずの隣で眠りについていたはずの千が起き上がり、リアムの首根っこを掴んで部屋の外へと投げ捨てる。
『ぶぅうう!千のケチ!』
『千さん!?リアムが・・・』
リアムを心配したゆずが追いかけようと立ち上がる。
のを・・・
『その姿を他の奴へと晒す気か』
千に阻止された。
『え・・・?きゃあ!!』
千の言葉でやっと自分の姿を把握したゆず。
カァァッっと顔に熱がこもり、まるでゆでだこのようになってしまった。
昨夜は千と何度も肌を重ね合い、熱い夜を過ごしてそのまま眠りについたのだ。
千と身を寄せ合い、掛け布団一枚で身を包んで。
つまり、生まれた姿のままでいることをすっかり忘れてしまっていた。
かろうじてリアムは布団ごと抱きしめていたからよいとしても・・・。
その姿のまま扉の外へと出てしまえば泉にまでその姿を晒してしまうことになる。
『泉に・・・その姿をみせたら・・・』
分かるだろ?といいたげな千の瞳がゆずの瞳を捕らえる。
『ご、ごごごごめんなさい!!』
姿をみせたらどうなるのかは分からないが、とても無事ではいられそうにないということだけは分かったゆずだった。

