『私は大丈夫・・です。・・・リアム!!リアムはどこですか、千さん!!』
必死に回りを見回すゆず。
自分が倒れてしまったことによって戦況は一気に不利になったに違いない。
リアムの身が不安で仕方がなかった。
『うそ・・・私のせいで・・・』
ゆずの視線は傷だらけになって横たわるリアムをとらえた。
リアムの元へと駆けていくゆず。
『毒抜きは終わりましたが、かなり強い毒のようでして・・・。かろうじて一命をとりとめたところです。目を覚ますか覚まさないかは彼の回復力次第でしょうね』
泉の言葉にゆずの瞳が揺れる。
ボロボロの・・・リアム。
私を助けたせいで、私を守ったせいで。
『ごめんなさい・・・。ごめんなさい、リアム』
リアムの頬へと手をおくゆず。
ひんやりとしている頬の感触にぐっと奥歯を噛み締めた。
何も覚えていない私に・・リアムは笑顔で接してくれた。
私のことを大好きだと言ってくれた。
『もう一度、リアムの可愛い笑顔をみせて・・・』
ポツリ
ゆずの瞳からあふれ出た雫がリアムの傷口へと落ちた。
すると、
『傷が治ってる・・・』
ルイスにの毒針によって傷つけられたリアムの傷がみるみるうちに消え去って行く。
さらにはリアムの胸から手のひらに収まるほどの光が現れた。
『これは・・・ルリマツリ』
その光はルリマツリを模ったようなカタチをしている。
ゆずはその光に誘われるようにして両手をそっと添えた。
『あたたかい・・・』
知っている。
このあたたかさを。
気を失っているとき、ずっと私を守っていてくれた光は・・・リアムの力だったんだね。

