狂愛~狂うほどに君を~



バサバサッ


突如、ゆずとリアムの前後に二羽のウミネコが舞い降りてきた。


二羽を包む赤い光。



『何・・・!?』



ビリリっとゆずの肌がイヤな魔力を感じ取る。



『この感じ・・・知ってる・・?』



冷や汗が額をつたい、落ちていく。


覚えてる、この感じ。


私、知ってる・・・怖い。


この魔力・・・怖い・・・。



『ゆず、大丈夫!ボクがいるよ。ボクはゆずの守護霊だから・・・絶対に守ってみせるよ!』



握った手からリアム水色の魔力がゆずを包む。


リアムのシールドだ。



『そんなひ弱なシールド如き、なんてことないです。その女を渡してください。そうすれば命だけは助けてやってもいいです』

『ゆずは渡せないよ!』



リリィは、ボクにとって何よりも大切な人だから。


渡すことなんて出来ないよ。




『天界のモノが天界を裏切る・・・ですか。ならば実力行使でいかせていただきます』




ゆずとリアムの前にいるウミネコはその姿のまま、口を大きく開き赤い玉を生成しはじめる。




『すごい濃度の魔力だね・・・。だけど、ボクだってゆずを守るために今まで頑張ってきたんだ!』



リアムはゆずの手を話、体の前で両手をパンと合わせる。


魔力を集中させ、濃度をあげていく。


リアムの全身が水色に光を放ち、髪が逆立つ。


相手の赤い玉がこっちへと向かってくると同時、


両手を相手側に突き出す。


網目状になったリアムの魔力が赤い玉を包み込み、勢いを殺す。


そのまま赤い玉を締め付けるように圧迫し、玉は細かく粉砕された。