狂愛~狂うほどに君を~



目指していた場所へとたどり着けば、あたり一面に小さい花が咲いていた。



『キレイだね、ゆず!』

『そうだね。青っていうより水色に近いのかな?リアムみたいに可愛いお花だね』



ゆずの言葉に、リアムは目を見開く。


既視感におそわれたのだ。


“アナタみたいに可愛いお花でしょ?”


ここで初めて出会ったゆずが、リアムに言った言葉。


それだけで、リアムの中でこの花は特別なものとなったのだ。



『ルリマツリって言うんだって!』

『よく知ってるんだね?』

『うん!大好きな人が教えてくれたんだ!』



目の前にいる、大好きな人が。


教えてくれたんだよ。


言いたくても、言えない言葉。


リアムはぐっと気持ちを飲み込んだ。




“花言葉はね?いつも明るいっていうの。アナタがいつも明るくいれますように・・・”




昔、ゆずがそう言ってルリマツリをくれたから。


だからボクは・・・いつだって笑っているって決めたんだ。




『・・・それにしても、ここだけ雪がないね』




ゆずはキョロキョロとあたりを見渡す。


花が咲いている周りだけ、雪がない。


それに加えて、寒さも感じない。


どうやら特別な空間のようだ。



『ゆず!頭までちゃんとマントをかぶって!!』



リアムがゆずへと振り返る。


真面目な表情のリアムに、ゆずも黙って従う。



『・・・イヤな魔力を感じた・・・ボクから離れちゃダメだよ?』



小さな手が、ゆずの手を握る。



『分かった・・・』



ゆずもぎゅっと握り返した。