『おっさん・・・あの鳥をみて』



イアンが空を見上げて二羽の白い鳥を指さした。



『あれはウミネコだな。・・天界の魔力が微量だが感知できる。サル、お前あいつの正体しっているのか?』

『分からないけど・・』

『なんだ』

『ルーカスの使い魔は、三人一組で行動してるって聞いたことがある。けど誰もその正体を知らないんだ。ルーカスの前以外では姿を鳥にしているらしいから。でも飛んでるやつらだとしても、一人足りないよ』



千とイアンの頭上を通り過ぎていたウミネコは二羽だが、その二羽ともが微かに天界の魔力を漂わせていた。



『嫌な予感がするな。サル、天界のモノは天界の魔力にすぐ気づく。お前はメガネザルに姿を変えて俺のマントの中にいろ。』

『なんでオレっちが!!』

『・・・お前とゆずが一緒にいることがバレればさらに危険にさらすことになるぞ』

『ちぃっ!分かったよ!くそぅ』




ゆずという言葉に反応したイアンは文句を言いながらも少年の姿からメガネザルの姿へと変わり、千の胸ポケットへと身を潜めた。




『ルーカスがリアムとゆずの出会いを知っている可能性はあるか?』

『なんでそんなこと聞くんだよ』



居場所がバレるにしても魔力は完全に隠して移動していた。


それに加えて泉の創造する空間に身を隠していたのだ。


足跡をおってここまでルーカスの手下が追ってきたとは考えにくい。


そうなればゆずが記憶の欠片を集めることを懸念し、それを阻止しようとしているのではないか。


そしてリアムとイアンに関しては天界でリリィとして過ごしてきたゆずが深い仲であるリアムとイアンとの出会いの場所で待ち伏せする・・・というのは辻褄があうのだ。



『・・・ルーカスはリリィのパパとママの記憶を覗きこんでた。だから、知ってるよ多分』


『そうか・・。ゆずの元へ行くぞ。お前はゆずと連絡を取り合え。俺は魔力を隠したまま、ゆずの元へ向かう』