狂愛~狂うほどに君を~




千は小瓶に手をかざす。



『なるほどな。そういうわけか』



千はマクベスの毒に封じ込まれた記憶を手をかざし魔力を複雑に放出させることで見ることが出来る。


そんなことが出来るのは天界魔界を探しても千だけだが。



『ルーカス・・だな』

『ええ、どうやら彼が大きく関わっているようですね』



グレイスを言葉巧みに操っていた男・・ルーカス。


ゆずの記憶を書き換えざるをえない状況へと追い込んだ人物。



『ゆずは、自分が何者か知りたいと言った。それがどんなに辛い思いをすることになってもだ』

『ゆずちゃんが・・?』

『記憶の欠片を、集めたいと言った。俺は・・ゆずの望むようにしてやろうと思ってる』

『この状況で記憶の欠片を集めるなんて生半可なことではありませんよ?』



ルーカスはゆずを手に入れようと血眼になって探している。


実質天界を統べるものから身を隠し、ゆずの記憶の欠片を集めることは無謀に等しいことだ。


これから先もグレイスやイアンのようにゆずを狙うものが増えてくることだろう。


万が一ルーカス本人がゆずの目の前に現れたとき、対抗できるのは千だけだ。



『俺がいて、お前がいる。出来ないことはない』



泉に絶対の信頼を寄せているからこその発言だ。



『分かりました・・。僕の空間移動なしでは何も始まりませんしね・・・』