『ふふっ寝ちゃいましたね』
いつの間にか眠りに落ちてしまったリアムを千が抱き寝室へと横たわらせた。
ゆずはリアムの頬の涙をはらうように撫でる。
『リアムはリアムで思うところがあったんだろう』
多分、ゆずのことだがな。
そう思いはするがそれをゆずには言えないのが千だ。
『私、絶対にリアムを知っていると思うんです。大切だったはずなんです・・・思い出せないけど』
リアムの涙をみてどうにか力になってあげたいと思うのに、リアムのことを思い出すことが出来ない。
目の前に確かにリアムはいるのに、何もしてあげられない歯がゆさ。
『考えても仕方ない、こっちへ来い』
ゆずの手をグイッと引きお姫様抱っこへとシフトした千。
『千さん?』
『今からは、二人の時間だ。リアムが起きるまでな』
リアムを寝室へと残しリビングのソファへと沈む二人。
ゆずの首筋に口づければ、ゆずの体が少しばかりビクついた。
『これで済むとは・・思ってないな?』
『千さっん・・』
ゆずの首筋を這う千の手。
だんだんと熱に浮かされていくゆず。
ちゅっ
ちゅっ
静かな部屋に響くリップ音。
千を求めて、千の首へと腕を回すゆず。
そんなゆずが愛しくて、かき抱く千。
愛しくて、足りなくて。
どうしていいか分からないから、二人は互いを求め合う。
思いをぶつけあうように、求め合う。

