狂愛~狂うほどに君を~



『あ、リアム・・!それは千さんのだよ?もう』



プクーっと頬を膨らませるゆず。


千のために焼いたクッキーをリアムがつまみ食いしていることに対して怒っているのだ。


といってもニコニコしつつじゃれ合いのようなものだが。



『ボク、今とーっても楽しいな!』



記憶の欠片を集めに各地に赴く必要がある。


しかし、それは泉がいないと成立しない。


泉がここへ戻って来るまでの間はしばらく大人しくしているべきなのだ。


泉は二か月程しないと戻らない。


だから、それまでは暫くの休息のようなもの。



『気にするな。こっちもうまい』



ゆずを後ろから囲い、割れたクッキーを口に運ぶ千。



『あ、それは私が自分で』



振り向いたゆずが千との顔の近さに頬を赤く染めた。


ああ、カッコイイなと思う。



『あ、あの・・・抱き着いてもいいですか?』

『・・・ん』



抱き着いてもいいですか?なんて聞いてしまったのが間違いなのか。


千は両腕を広げてゆずが飛び込むのを待っている。



『う・・あ・・えと・・』



カアアアッと顔全体を真っ赤にさせるゆず。



『そろそろ慣れてもいいような気もするが?』



いじわるな、笑みの千。


そして察するゆず。



『わ、わざとですね』