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『やぁ、君はいつみてもキレイだね、グレイス』
透き通るような金色の長髪の男がグレイスの漆黒の長い髪を一房つみ、口づける。
グレイスはその仕草に恍惚の表情で男を見つめる。
『お慕いしておりますわ、貴方を誰よりも』
『私も君を愛しているよ。一番信頼している』
『嬉しいですわ!とっても・・・』
グレイスは男に唇を寄せキスを強請るが、長い人差し指に阻まれる。
『信頼している君に、お願いがあるんだ。君を愛しているからこそ、お願いしたいんだ』
その言葉に、心ごと囚われてしまったグレイス。
『なんなりとお申し付けください。あたくしは・・貴方のためならこの命すら惜しくありませんわ』
男はグレイスを自分の胸へと抱き寄せ、ニンマリと静かに笑う。
その黒い笑みに、グレイスが気づくことはない。
『リリィを、仮死状態にして・・連れて帰ってきてくれないか』
『何故ですの?正直あたくしは・・リリィ様が帰ってきてしまったら・・』
自分の居場所が、なくなってしまうわと思うグレイス。
『君のためだよ、グレイス。リリィを天界に連れ帰り、亡き者にしてしまえば私は君だけのものだ。だけど、愛しい君にリリィにとどめを刺させるわけにはいかない。だからそれは僕の役目だ。君はリリィを私の元に連れ帰りさえすればいいんだよ』
『そんなこと・・。リリィ様を連れ帰ってきたら、貴方はリリィ様のことだけを見つめますでしょう?』
『私は君を愛していると言ったろう?信じてくれないのかい・・?それならば今、終わらせるべきだね』
『そんなっ信じています!信じていますわ・・!きっとリリィ様を貴方の元へとお連れいたしますわ』
男へと必死に縋りつくグレイス。
グレイスにとってこの男は絶対的存在。
この男が、全てなのだ。

